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諏訪 武; 渡辺 光崇; 瀬口 忠男; 岡本 次郎; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 17(1), p.111 - 127, 1979/00
PTFEラテックスの粒子径、粒子数および粒子径分布を電子顕微鏡と自動粒径分布測定機(遠心法)を用いて測定し、反応条件との関係を明らかにした。電子顕微鏡写真から、PTFEは反応開始後5分ですでに粒子形成していることが認められた。粒子数(np)はポリマー鎖と水あるいはモノマーの放射線分解によって生成したイオン種との相対的濃度によって決定される。すなわち,初期のモノマー仕込み圧力と線量率との比によって決定される。粒子数の反応時間依存性は3つの場合がある。Case I, dn/dt=0、Case II,dn/dt0、Case III, dnp/dt0に分類される。重合反応の場は、反応初期を除けは、Case IとIIでは、水相に分散したポリマー粒子表面が主であり、Case IIIでは重合中、継続的に粒子が生成していることから、主に水相であると考えられる。
諏訪 武; 渡辺 光崇; 岡本 次郎; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 17(1), p.129 - 138, 1979/00
この反応系において、重合と同時にフッ酸(HF)が生成する。HFの生成速度は、反応初期において、TFEモノマーの圧力および線量率が高いほど大きく、また重合によってモノマーが消費されるにつれて低下する。このことから、HFの生成は照射下におけるTFEと水との反応によるものが主で、重合中生成したポリマーの崩壊によるものは小さい。また酸素添加量に比例してHFの生成量は増加する。HFの生成がTFEと水の放射線分解によるprimary radiculs(H°,OH°,Eaq)との反応によってのみ生ずると仮定すると、HF生成のG値、G(HF)alcは11.25となる。一方実測値から求めたG(HF)xpは、線量率が1.410rad/hr以上、圧力20kg/cmの場合計算値より1桁大きな値を示した。このことからHFの生成はモノマーのC-F結合の切断によるF°と水との反応による寄与のほうが水からのH°、OH°およびEaqによる寄与より大きいことを明らかにした。
諏訪 武; 渡辺 光崇; 岡本 次郎; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 17(2), p.503 - 516, 1979/00
乳化剤不在下の放射線乳化重合で得られたポリテトラフルオルエチレン(PTFE)ラテックスの安定性を検討するために電気泳動による電位の測定および電導度滴定を行った。放置安定性は線量率よりむしろ全照射線量に依存し、次の領域で安定なラテックスが得られた:logD0.026V-0.6 ここでDは照射線量(10rad)、Vはラテックス中のポリマー濃度(g/l)である。安定性はモノマーが充分存在する重合中にのみ増加する。ラテックス粒子の電位は重合したままの状態(PH3)では-25~-50mVであり、PH10では-50~-65mVと安定性はアルカリ側で増加する。また表面電荷密度は水の放射線分解のG値から計算した値より電導度滴定による実測値の方が大きい。上の結果から粒子表面に酸が依存することは明らかである。これらの酸はカルボキシル基と吸着したフッ酸であると推測され、安定化はこれらの酸およびOHによるものである。
諏訪 武; 中島 隼人; 武久 正昭; 町 末男
Journal of Polymer Science; Polymer Letters Edition, 13(6), p.369 - 375, 1975/06
著者らはエチレンの放射線乳化重合について研究してきた。その一環として、乳化剤を全く用いないCH-HO系で重合を試みたところ非常に安定なラテックスが得られた。重合反応は50C以下になると気相でも起こるが、70C以上ではほとんど液相で反応が進行する。またラテックスの形状は、50C以下では扁平な球であるが70C以上では球状粒子(約2000A)である。このラテックスはPH3以下になると不安定であるが、アルカリ性に対してはPH12以上になっても安定である。水の放射線分解で生成するイオン種はH、OHそれにeaqである。HClで伝導度滴定したところ当量点が出現した。ポリマー粒子表面にOHが吸着していると仮定して表面電荷密度を計算したところ1.5010coulomb/cmで、これは妥当な値である。このように疎水性ポリマーが乳化剤の存在しない系で安定に存在できることは非常に興味深い。